V系/バンド 人生で出会った人

職場の清楚系美女がビジュアル系バンドに堕ちていったとき胸に刺さったこと。

2016年9月11日

こんにちは、もとみんです。

前回からまただいぶ経ちましたが、またしても楽しい多忙と、今回は苦しすぎるストレスも蓄積して、ああ生きるってツライなあと思いながら毎日を送っています。

今回は以前断念した「昔一緒に働いていたV系ファンの女の子の話」を書こうと思います。「最近涙したこと」というお題とクロスして進めたいと思います。

 

これはただの思い出話の一環として書いています。また、個人的見解に基づいて書いておりますので一般論とは異なります。

 

その同僚は芸能界でも通用しそうな清楚系美女

生きているとたまに美男美女に遭遇することがあります。もはや芸能人か!?というレベルの方々です。

わたしが昔勤めていた職場には黒髪ロングの清楚系美女がいました。

4年制大学卒で年齢は当時23歳くらい。敬語を崩さず、仕事も自ら進んで提案したりサービ残業するような真面目な人です。仕事自体もできるし、正直だし、人当りもいいし、礼儀正しいし、気遣いもできるし、ついでにおっぱいまで大きくて(笑)、わたしから見ると非の打ちどころがない女性でした。

そんな彼女Tさんはもちろん彼氏持ち。そして若干アニメ&声優オタク。尤もそれほどディープではありません。

こんなに美女なのにオタ話もできるなんて!というオタから見ると最高級スペックの女性であることは間違いありませんでした。

 

ある日Tさんがビジュアル系バンドにハマった!

そんなTさんはある時から某バンドSにハマっていきました。

バンドSは、徐々に人気の出始めていたインディーズのヴィジュアル系バンドです。

V系といえば化粧! その化粧した顔が宣材にもなっているわけで、化粧前の顔を見るとなかなかシンプルというか、あれっ…と思うことも少なくないのがV系の醍醐味でございます。ところが中にはスッピンでもイケメンという奇跡のV系バンドマンがいるのです!

彼女がハマったバンドSは、その奇跡のバンドマンを擁するバンドでもありました。

ところで、わたしは長らくV系バンドのファンでしたから職場でV系の話ができることについてとても嬉しく思っていました。TさんがそのバンドSにハマればハマるほど、周辺のバンドの話などにも花が咲き、個人的にはとても楽しかったのです。

ちなみにその職場には、Tさん以外にも2人、V系ファンの女性がいました。個人的に天国だったのです(ノω`*)

 

現実の辛さが趣味の幸福感を増幅させる 

バンドSにハマったTさんは、もちろんライブに参戦するようになりました。雑誌もほくほく購入。

ライブではモッシュ・ダイブ・ヘドバンなどノリノリで楽しんでいたようで、話を聞いていると自然と笑顔になって幸福そうな雰囲気になるので、いかにそのバンドが好きかが良く分かりました。休憩時間中にはメンバーに手紙を書いたりブログにコメントしたりしていました。

何かにハマって一番楽しい時期、という感じですね(^ω^)

そうして職場のバックヤードでV系バンドの話に花を咲かせる中、仕事自体は非常に過酷をきわめていました。

売上ノルマ・上司からの叱責…そんなのどこの職場でもあるじゃないかと思われそうですが、母体が超体育会系であるその会社に於いては、「確実に売上という結果を出さなければいけない」状況で、会社そのものは一部上場はしていましたが内容はブラック企業のそれでした。

更に、その頃Tさんは彼氏と段々とうまくいかなくなっていました。それまでは良く彼氏の話をしていてラブラブな様子だったのに、「彼氏のことを本当に好きかどうか分からなくなった」「別れようか迷っている」ということを言っていました。

仕事内容については誰もが胃が痛く、業界全体を見ても出入りが激しい状況…さらに彼氏とも不和状態…

『仕事は過酷だし彼氏とも微妙だけど、趣味は最高に幸せ!』

こういう状況であれば、趣味の幸福感は倍増しますよね。

 

そしてTさんは病んでいった…

このひどいギャップという荒波。

その中でTさんは段々と病んでいき、やがてストレスによる体調不良で病院に通うまでになりました。

大好きなバンドSの話をいているときは生き生きとしているのに、仕事に関してはストレスが膨張しすぎてうつ状態になるという、いわゆる「新型うつ」の症状です。

やがてそれは激化し、ある日Tさんは職場に来る途中、道端に蹲って動けなくなってしまいました。職場に行こうと思っても体が動かず、その場で号泣したそうです。

それ以降Tさんは職場にこなくなくなりました。

 

別人のように変わったTさん

とても働ける状況にないTさんはそのまま退職することになりました。色んな意味でショックでした。

実のところその会社では、Tさんのように病んで退社していく人が結構いました。Tさんのように優しい人にはツラく、図太い神経がなければやっていけない職場だったのです。

…と、普通はここで話が終わりそうなものなのですが、何といっても今回のテーマは「TさんがV系バンドに堕ちていったときに胸に刺さったこと」です。続きがあるのです。

それは、Tさん退職後のことです。

Tさんが退職した後、荷物の引き取りや、V系ファン同士で飲みに行ったりカラオケに行ったりと、たびたびTさんに会う機会がありました。

Tさんは今までのうつ状態が嘘のように明るい表情を取り戻しました。そのくらい仕事がストレスになっていたのでしょう。元々Tさんは落ち着いているけど明るいタイプだったのですが、退職後は輪をかけて明るくなっていきました。

 

どのようになったかというと… 

 

ストレートな黒髪が、金髪の巻髪に!!!

もちろん目にはカラコン!!!
(※この当時まだカラコンは手軽ではなかった)

 

もうバンギャ(V系ファンのギャルの呼称)全開!!!

 

一番驚いたのは、口調がめっちゃ荒くなったこと。

 

それまでは、育ちが良いんだなあと感じさせるような丁寧な言葉づかいだったのに、一緒に飲みに行った居酒屋の席で、他の女の子が手をつけた食べ物についてこう一言…

 

「おい、てめえが箸付けたモン戻してんじゃねえよ。てめえで食えよ汚ねえな(ギロッ)」

 

ちょちょっ!!??

Tさんどうしたの!!!???

いつからそんなグレちまったの!!!???;;

 

もうビックリでしたよ!

言ってることはまあ間違いではないと思うけど言い方がね…ドスが聞いた声で言うものだから、その瞬間にその場はシーンとなりました。指摘された女の子なんて同じ年の元同僚なのに「すみません」と敬語で謝る始末…。

その時わたしはしみじみ感じました。

女という生き物は、男次第でこんなに変わるのだ、と…。

そんな変貌を遂げたTさんですが、退職後なので時間に余裕があります。インディーズのV系バンドは比較的多くライブをやっていますが、時間があれば全部のライブにいくことも可能です。ライブツアー全箇所をバンドと一緒に回ることを「全通」と言いますが、彼女も全通しているようでした。

しかし、時間はあっても、お金は減っていきます。

インディーズなのでチケット代はそれほど高くないとしても、全通すればそれなりの代金ですし、何しろ遠征するには飛行機代やホテル代がかかります。その上彼女はお気に入りのバンドメンバーにプレゼントをよく買っていました。その他、特別なライブの日には花を送り、グッズが出ればしっかり購入。

最近はどうか知りませんが、その当時はチェキが流行り始めていました。インスタントカメラで(チェキ)で撮った小さな写真が1枚500円程度で販売されていたんですね。これも沢山種類があるので全部集めるとなるとなかなかのお値段がします。

今やTさんも金髪バンギャ。生活が趣味中心にまわっているようでした。そこで今後のことを聞いてみたところ、しっかり再就職プランは考えている模様で、さすがTさん!と思いました。

しかし問題は「お金」です。

Tさんはこう言いました。 

 

「ライブとかで金もやばくて、ガールズバーで働こうかなーって思ってるんですよ」

 

ガールズバー!!!!!!

本気で!?!?!?

 

てっとり早くお金を稼ぐために夜の仕事をするというのは世間的にはよくある話です。しかもけっこう夜の仕事をしている女性は多いものです。

 

しかし…しかしですよ?

あの清楚系だったTさんが?

 

いや、違う。

 

そんなことよりももっと驚いたのは、

 

バンド(マン)にハマってお金がなくなったら夜の仕事に行くという、筋書き通りの道をTさんも例外なく通っている!という事実。

 

これはホストにハマった女性の筋書きとも同じです。とにかくお金が必要なのです。しかも早く。すぐに。高額の。自分もHAPPYに、彼もHAPPYになるために。

風俗嬢じゃないからまだ軽い方だとは思いましたが、わたしには十分衝撃でした。

昔から周囲に夜の仕事をしている知り合いが多かったもので仕事内容的な偏見はないんですが、ただ単に、好きな男性にそそぐためのお金がなくなったら本当にそういう道を選ぶものなんだなあと、実際目の当たりにして驚いたのです。

もう一つの選択肢として、ライブに行かない、グッズを我慢する、という方法も一応存在しているわけですが…そちらを選択することはないのですね。

 

Tさんの人生を変えた、バンドS

すっぴんイケメンを擁するバンドSは人気もかなり高まり、確かそのあたりでメジャーデビューしたような気がします。

よく、好きなバンドがメジャーに行くと応援するのを辞める、という天邪鬼タイプのファンがいますが、Tさんはそんなこともなく彼らを応援し続けました。メンバーに名前を憶えてもらっていると言っていたので、結構距離が近いファンになっていたようです。

バンドSは、いわばTさんの人生を変えたも同然です。バンドSがなかったら、Tさんは一連の変化を遂げることは無かったでしょう。仕事にストレスを感じる部分については遅かれ早かれ同じ結果になっていたとしても、です。

しかし、ある時からTさんは別のバンドAのことを口にするようになりました。

V系に限らず、ライブハウスでの通常ブッキングやイベントなどでは対バンが登場しますよね。どこのバンドも、他バンドのファンを奪ってやろうくらいの気概はあると思いますが、V系は特にそういう感覚が強いように思います。(個人的見解です)

ファンの方も、本命バンドがあって、その他にもライブに通っているバンドがいくつかあったりする人が多いです。多分TさんにとってバンドAもそんな感じだったのだと思います。

そして、それは遂に逆転を果たします。

 

本命バンドが、SからAに移ったのです。完全に!

 

その時Tさんはこう言いました。

 

「最近バンドAのライブが楽しいんですよ。バンドAのボーカルがすっごく面白くてウケるんです!」

「バンドSのボーカルは、最近MCで真面目なことばっか言っててつまんない…」

 

バンドSのボーカルとは、Tさんが特に入れ込んでいたバンドマンです。今までずっとずっと好きと言い続けてきたバンドマンは、とうとう彼女の中で魅力的ではない存在になってしまいました。

因みにバンドSのボーカルは、とてもイケメンで明るい感じの人です。Tさんが最初に彼に惚れたのは、もしかしたらその明るさ故だったのかもしれません。明るい人からは勇気やポジティブさをもらえますもんね。

一方、本命となったバンドAは特別イケメンというわけでもないし特別明るいイメージもありません。だけど、面白い。

確かにMCとか面白い方がいいですよね! あ、このライブ楽しい、また来たい、となるのでライブ動員も多くなると思います。この辺り、大阪バンドは最強だよなあといつもしみじみ思うんですが…というのは余談として(笑)

わたしはTさんのこの言葉を聞いたとき、なんだかちょっとショックだったんですよね。

バンドは一つの組織で、一人でやってるわけではないからメンバーと意見をすり合わせる事やファンを増やすことも簡単ではないと思うのです。

人気が出ればそれだけアンチが増えるし、メンバーも心の底に苦々しい本音を隠し持っていて当然なのではないかと…そういった感情や歴史を積み重ねてメジャーデビューまでこぎつけた今の彼らがあると思うわけです。

MCで真面目なことを言うのは、本人にとってそれなりに真剣にファンに対峙している証拠じゃないのかな?

その姿勢に「嬉しい」と思ってもらうことは不可能なのだろうか?

プロアマ関係なく、表現することをしている人にはそれなりに伝えたいことがあると思うんですよね。(無い人もいると思うけど)

だけど最初に何かコンセプトがあって、それを続けて、それが定着していくと、あるときそれと異なることを表現したときに「それは違う」と否定されたりする。これは表現する側からしたら自分自身に縛られている感じもあります。

ともかくそうして、ちょっと異なった表現をして落胆されてしまうということがわたしにはなんだか悲しかった。

そして、もしかしたらバンドSのボーカルが真剣に口にしたかもしれない真面目な言葉よりも、楽しくて笑えるバンドAのちょっとした雑談の方が価値が上なんだ…と思ったら、それもなんだか切なかったのです。

だから、その言葉がとても胸に刺さったのです。 

 

元気をあげる、笑顔を届ける、という職業

ところが、最近わたしもNEWSにハマってなんとなくその気持ちが分からないでもないなという気になりました。ああ、もしかしたらこういうことだったのかも…と思ったのです。

わたしはメンバーが真面目な話をしているのはすごく好きなんだけど、彼らの職業がファンに対して「元気をあげる」とか「笑顔を届ける」というものであることを痛感するときがあります。

それは、自分が「あー元気出したいからNEWS聞こう」とか思う時です。アイドル自体そういう存在かもしれないけど、それ以上に、そういう要素として彼らを位置づけているのは自分なんだなと気づいて。

結局、「元気をくれる存在であってほしいな」って望んでいるから、そういうふうになるんですよね。

Tさんが最初にハマったバンドSも明るくてポップで元気な感じのバンドでした。バンドのコンセプト自体そうだったのでしょう。

V系そのものは色んな種類のバンドがいて、中には90年代を彷彿とさせる暗いバンドもあるけれど、どんなバンドもファンにとって日常の興奮剤や安定剤であることは確かです。

例えば身近にいる恋人にそれを望むことは難しいと思うのです。恋人が仕事で何かあって不機嫌だったりすれば、元気になるどころかこちらまで気分が悪くなることもあります。

でもそういう職業の人達はいつも元気にしてくれたりヤル気にしてくれたりする。それは余計な部分が見えないからかもしれないけど、それと同時に彼らがプロだからだと思うのです。生身の人間だけど、れっきとした商品でもあるから。

誰かに勇気や元気をあげる職業って大変ですよね。ファンはある程度、精神的な依存をすると思います。

その人が悲しそうな顔をしたらファンは心配になってしまうから、ファンに心配をかけまいと弱音もなるべく吐かず笑顔でいようと心掛けるでしょう。そうするとその人はストレスが溜まってしまいます。だけど笑います。ファンの為に。それが仕事だから。

 

ここにきてようやく「最近涙したこと」というお題にたどり着くのですが… 

わたしは昨日、とてつもなく疲れる環境に身を置いていました。

おおよそ3時間程度でしたが、10代の頃に一時期感じていた、遅行性の毒をもった鋭い棘が刺さったような、あの「だんだん自分が死んでいく」みたいな気分を久々に味わいました。

それで、疲れ切って帰宅した後NEWSのDVDを見ていたら泣けてきちゃって。特にメンバーが泣いてるわけでもないのにですよ。普通のDVDなのに(笑)

なぜだか妙に安心してしまいましたよね。近所の兄ちゃんみたいに身近な存在でもないのに不思議ですね。

変わらずそこに存在してくれている安心感の威力ってこんなにすごいんだなと思いました。

もしかしたらあの時のTさんの拒絶反応は、真面目な話どうこうの問題じゃなくて、好きなひとが変わっていってしまうことへの不安感だったのかな…

今ではそんなふうにも思います。

長くなってしまいましたが、そんな思い出話と最近の出来事でした。ありがとうございました。

ではでは、また!

 

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