こんにちは、もとみんです。
今回は「青春の一冊」というテーマで語ろうと思うのですが、今まで読んできた本の中で「ぐっときた本」はいくつかあるものの、果たしてそれを読んだ時期は「青春時代」といえただろうか?と思うとちょっと自信が無いです。
青春時代って、やはりうら若き学生時代という感じがするのですが、その頃読んだ本はイマイチ覚えていないのです。小学校の頃読んだ「ズッコケ三人組」シリーズと「晴れ時々ぶた」は覚えているけど…それ以降、覚えがない…。
そんなわけで、「拙者、ヒィヒィ言いながらなんとか頑張って生きてるからもうオールウェイズ青春時代です!!!」ということで、大人になってから読んだこの一冊をチョイスしました。
別名:単に好きな本!!!
「侏儒の言葉」(芥川龍之介/著)です。
えっ、芥川!?
純文学のどこが面白いの!?
と驚かれることが多いのですが、今の時代でいうところの「日常系アニメ」と同じようなものだと思うんです。もう淡々と日常を描いてるところが!
中でも芥川龍之介は意外とエンタメ性が高い気がします。カエルとか河童とか出てきますしね!
ただ、今回語ろうと思っている「侏儒の言葉」はストーリーモノではありません。それでもこの本がめちゃくちゃおもしろいのは「現代人でも思わず共感してしまう言葉」がずらりと並んでいるからなんです。
芥川龍之介は少々スパイスがピリリときいた言葉が多いので、ブラックユーモアやブラックジョークが好きな人はハマるんじゃないかと思います。
そんなわけで、今回は 「侏儒の言葉」 の面白すぎる言葉を勝手に紹介していきます!
「侏儒の言葉」は格言の宝庫
この本の知名度が一般的にどれくらいなのかよく分からないんですが、これは小説ではなく「箴言集(しんげんしゅう)」です。「箴言」とは、教訓の意をもつ短い句、戒めとなる言葉をいいます。
わたしが持っている岩波文庫版(昔の個人経営の古本屋で購入しました)は初版1932年・最終が1980年発行となっていますが、その時点で第56刷、お値段¥150。
巻末の解説はいつ書かれたのだろうか?
ちょっとわからないですが、とにかくその時点では、「箴言集の形をとっている作品は少ない」と書かれています。
昨今は「偉人の言葉」みたいな感じで格言集みたいな本をよく見かけますが、まさにあんな感じの本ですね。
芥川龍之介の有名な格言とは?
芥川龍之介の言葉として有名な言葉がいくつかありますが、よくネットやアプリの格言で見かけるのはこれでしょう。
『人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である。』
『人生は落丁の多い書物に似ている。一部を成すとは称しがたい。しかしとにかく一部を成している。』
端的な表現で「確かに…」としみじみします。
で、わたしのお気に入りでちょっとクスッとできるのはここからです。芥川龍之介の超冷めた目線がポイント!
『われわれを恋愛から救うものは理性よりもむしろ多忙である。恋愛もまた完全に行われるためには何よりも時間を持たなければならぬ。ウェルテル、ロミオ、トリスタンーー古来の恋人を考えて見ても、彼らは皆閑人(ひまじん)ばかりである。』
『男子は由来恋愛よりも仕事を尊重するものである。もしこの事実を疑うならば、バルザックの手紙を読んで見るがよい。バルザックはハンスカ伯爵夫人に「この手紙も原稿料に換算すれば、何フランを超えている」と書いている。』
これ、めちゃくちゃウケませんか!? わたしは初めて見たときに思わず吹き出しましたねw
後者なんてもう、別れ際に「今まであげたプレゼント全部返せ!」とか言いだす彼氏みたいですよね(笑)
皮肉たっぷり!?芥川龍之介と現代ネットの共通点
また、芥川龍之介の言葉には現代のネットとの共通点もちらほら見られます。
芥川龍之介『阿呆はいつも彼以外の人々をことごとく阿呆と考えている。』
現代意訳『バカって言ってるやつがバカなんだよwww』
芥川龍之介『死にたければいつでも死ねるからね。ではためしにやってみたまえ。』
現代意訳『どうせできないんだろ』
もうね、現代人と同じようなことを言ってるんですよ! その時点で純文学界の偉人だというのになぜか親近感わくという(笑)
また、こんな皮肉たっぷりのものもあります。
百足(むかで):ちっとは足でも歩いて見ろ。
蝶(ちょう):ふん、ちっとは羽根でも飛んで見ろ。
「お前さんにはできないだろう?」とそれぞれが相手を馬鹿にしますが、そもそもフィールドが違いますから!っていう第三者の冷静な目線…(笑)
いかにも皮肉なんだけど、「こういう言い合いってよくネットで見かけるよなぁ」と思ったら、もう芥川龍之介が現代人に思えてくる!
芥川龍之介の文学作品は100均でも買える!
ところで、わたしは100円均一で芥川龍之介にハマりました。
どういうことかというと、その当時はDAISOに小さい文庫本が売っていて、そこに芥川龍之介の本があったんです。その他にも名だたる文豪の本が売られていて、芥川の師匠である夏目漱石や、逆に芥川に憧れていたという太宰治などが一緒に並んでいました。
DAISOで売られている本なんて!と思われるかもしれませんが、も~これがなかなかどうして侮れない!
なぜかといえば……とにかく分かりやすいんです!
DAISOで売られていた100円の純文学本には、学校の教科書のように欄外にいろいろ説明がついていたんです。普通の文庫本だと本の後半に注釈がまとめて書いてあったりしますが、その本は該当ページ内に赤ペンで注釈が書いてある。もはや参考書ですね(笑)
学生時代、教科書に芥川龍之介の短編が載っていました。確か「羅生門」だったと思いますが、あの話は狂気じみてますよね。えっ、これ怪奇文学なの!?みたいな(笑)
だから、「この作家さんは妙な話をかくなあ」と思っていたのだけど、改めて読んだら面白かったんですよね!
純文学作家は多かれど、推しメンは芥川龍之介です
そこから他の作品を読み、他の作家さんの作品を読み…という純文学ブームがおこったのですが、純文学といえばなんといっても太宰治ですよね。
なぜだかわかりませんが、とにかく純文学好きなひとには太宰ファンが多い!!!
「人間失格」が共感を覚えると聞いたのでわたしも読んでみたのですが、わたしはどうもやはり芥川龍之介派のようでした。
よって、
推しメンは芥川龍之介です!!!
そういえば以前、森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」がBLだというのでどんなものかと気になって読みましたが、買った本が旧仮名遣いで小難しすぎて挫折しました(;∀;) 自分がもっと高性能CPUを搭載していれば…!
でもまあ良いんです、だって推しメンは芥川龍之介ですから!(笑)
そんなわけで、皮肉たっぷりなニヒリストぶりを発揮している芥川龍之介の「侏儒の言葉」は、けっこうクスッとできたり、なるほどな~と思ったりできるお気に入りの一冊です!
小説とはまた違った雰囲気なので、気になる!という方はぜひ芥川ワールドに浸るべく読んでみてくださいませ♪