ちょっと語ってみた

絵本「ちびくろさんぼ」とダンガンロンパのタブー的ブラックユーモアの話

2019年9月23日

仕事中ですが、少し息抜きにブログを書きたいと思います。本当はたくさん書きたいことがあって下書きが山のようにあるのですが、今回は、先日ちょっと気になったことを書こうと思います。

唐突ですが、「バターになる」という表現をご存じですか?

これは伝統的な慣用句ではなく、「ちびくろさんぼ」という童話に出てくるワンシーンを現した言葉です。

 

「ちびくろ・さんぼ」というのは、この本です! 

ちびくろ・さんぼ

 

この童話については、おそらく昭和生まれの方でしたらご存じなのでは…と思うのですが、いかがでしょうか?

今回はこの「ちびくろさんぼ」のことをちょっと書いていきたいと思います。

  

平成生まれ世代は「ちびくろさんぼ」を知らない?

わたしは作業をしながらYouTubeを見ることが多くて、最近は以前にましてYouTuberの動画を見まくるようになりました。いろんな系統のYouTuberが好きなので、見る内容も雑多です。

ビジネス系としてはNewsPicksとか堀江貴文さんのCHとかいろいろ流し見するのですが、先日ホリエモンチャンネルの動画を見ていたら、たまたま堀江さんが「ちびくろさんぼ」の話をしていたんですよ。ちなみに動画はこれ↓です。

 

  

「ちびくろさんぼか~なつかしいなあ!」なんて思ってみていたら…ゲストで来ていたSHOWROOMの前田裕二社長も、進行担当をしてる女性の寺田さんも、「ちびくろさんぼ」を知らないとのこと!!!

 

平成生まれの世代はこの話をしらないのか…!

 

もうこの衝撃がすごくて、一人だっていうのに「まじかよ!!」って声をあげてしまいました。これがかの有名なジェネレーションギャップというものなのでしょうか?

ちなみに寺田さんは平成元年(昭和64年)生まれで、前田社長は昭和62年生まれのようです。ある意味おふたりとも昭和の忘れ形見的な年代ですけれど、昭和60年代は平成世代にまとめたほうが話題や感覚も近いと思うので、ここでは平成生まれの世代としたいと思います。

 

ちびくろさんぼのあらすじ

一応あらすじなのですが、このようなお話しになっています。

 

主人公は、父ジャンボ・母マンボと一緒に暮らしている男の子、サンボである。

両親から新しい靴・上着・ズボン・傘をもらったサンボは、竹藪に出かける。しかし通りかかったトラたちに喰われそうになり、身に着けたものを一つずつ与えることで許してもらう。サンボは裸にされ、号泣する。

一方トラたちは、戦利品を奪い合って木の周りをぐるぐる回りはじめる。その間にサンボは、与えたものをすべて取り返すことに成功する。トラたちは最終的に溶けてギー(インドのバター)になってしまう。サンボ一家はそのギーでパンケーキを焼く。マンボは27枚、ジャンボは55枚、サンボは169枚も食べた。

(出典:Wikipedia)

 

この話では、数匹の虎がぐるぐる回って最終的にバターになってしまいます。おいおい、虎が回ったからってバターになるわけないやん!とツッコミたい人もいると思いますが、ここがまた面白い部分でもあります。

とにかくこのようなシーンがあるため、ぐるぐる同じところを回っていると「バターになるよ」と表現したりするわけですね。

 

ダンガンロンパに登場した「ちびくろさんぼ」

この「バターになる」という表現は意外といろんなところに使われていると思うのですが、比較的新しいもののなかで印象的だったのが「ダンガンロンパ」です。

ダンガンロンパは2010年にスパイク・チュンソフトから発売されたPSP用ゲームです。このゲームはシリーズ化しており、いろいろな媒体に移植されたほか、アニメ化や舞台化もしているので、かなり有名かと思います。

 

ダンガンロンパ1・2 Reload - PSVita

 

ダンガンロンパはハイセンスなシナリオだなと思って個人的に好きなんですけど、設定としてはこんな感じです。

 

「超高校級」と称される優れた能力を持つ高校生ばかりが集められた「希望ヶ峰学園」に入学した生徒達が、「卒業するためには仲間を殺すこと」というルールの元に次々と発生する殺人事件を「学級裁判」で解決していく。

 

これラストが最高なんですよね! ああいうラスト超絶好みなんですよ。完全なるディストピア的な…って、わたしの趣味はどうでもいいとして(笑)

このゲーム、学級裁判で仲間の嘘を暴いていくのですが、その嘘を見破られてしまうと「おしおき」されてしまいます。しかも確実に死ぬおしおきです。

シリーズ1作目の『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』はもう9年前の作品ですが、この作品に登場する超高校級の暴走族・大和田紋土(おおわだ もんど)くんは、おしおきでバターになってしまいます。

彼は暴走族なので、単車でぐるぐる回って最終的にバターになるのですが、そのシーンがこれまたなんというか…残酷なんだけれど滑稽なんですよね。だって「大和田バター」とかってパッケージに書いてあるんですもん!

このシーンをみたとき、わたしは普通に納得してしまいましたが、前述のとおり、ちびくろさんぼを知らない世代がいるということを知ったとき、「あれ? ひょっとしてあの大和田くんのおしおきシーンの意味がわからない人もいたのかな?」と疑問になりました。

もちろん童話を知らなくても、個性的なお仕置きシーンということで成り立ちますが、パロディとしてのおもしろさは半減してしまうのかな?と思って。でももう約10年前だから、その当時のコアユーザー層は知っていたということなんでしょうか。

 

なぜ「ちびくろさんぼ」は強烈に印象に残るのか?

ダンガンロンパはそもそものテーマがバトルロワイヤルなので、全体的に結構残酷です。でも絵柄が可愛かったり、マスコットキャラクターのCVが大山のぶ代さんだったりと、とにかく可愛さがあるんですよね。

だから、可愛い×残酷というギャップがうまれて、ただただ残酷なだけじゃなくて、どことなくブラックユーモア的な滑稽な雰囲気を感じさせます。

それはおおもとの「ちびくろさんぼ」も同じで、この童話もある意味ブラックユーモア的だなあと思うんですよね。

虎たちは私利私欲のためにぐるぐる回ったわけなので、バターになったのは自業自得といえます。しかしそんな虎製バターを美味しくいただいちゃうってあたりが、なんともいえないブラックユーモアさを漂わせている気がします。

だって虎を人間に置き換えて考えてみてください。ぐるぐる回っておいしそうな感じになったから食べちゃおう!ってことは、これもうカニバリズムですから!! 骨を入れて「良いお出汁がとれるかしら♪」なんていったらこれもう猟奇趣味ですから!!!

この「どことなく残酷」「どことなくカオス」なかんじが、1度読んだら強烈な印象を植え付けている気がします。

しかし、この童話が強烈な理由はもう1つあります。

 

それは…

 

かつて発禁になったからです。

 

禁止されたものが強烈に記憶に残る

この童話は、人種差別だという批判を受け、一時期書店から消えたことでも知られています。そのような背景があったからこそ、さらに強烈に印象に残っているのです。

ちなみにわたしの記憶のなかでは、似たような時期に、サンリオの「たあ坊」というキャラクターも差別だという批判を受けて見かけなくなりました。

わたしは当時、たあ坊のペンが大好きでよく使っていたのですが、その批判があってから、大好きだったのに「使ってはいけないんだ…」と思い、使えなくなりました。

いまこの記事を書くために調べたら、今はもう両方とも、普通に発信OKにはなっているようですね。タブー視されたものは「口に出してはいけない」という雰囲気もあったので、これらについて今ここで書けているのも不思議な感じがしてしまいます。

「たあ坊」はこのキャラクターです。懐かしい!でもちょっと顔が変わったような??

Dgr102 みんなのたあ坊 エコバッグ

  

こういう日本全体として発禁になったものって、子供だった当時の自分にとってはとても衝撃的でした。なのですごく記憶に残っているんです。

ちなみに自分の幼少期を思い返すと、たとえば選挙や皇族についても批判するのはタブーという風潮があったように思います。

 

自由になったのになぜ不寛容社会なの?

ところが現在ではだいぶ自由になり、皇族についても小室さんの件などで、かなりラフに国民が意見するようになったと思います。一番衝撃的だったのは、どちらかの記者の女性が佳子さまに対し「普段はなにをされているんですか?」と聞いたことです。

政治については法律違反になることは今ももちろんNGですが、やはりかなり意見がいえるようになった気がします。そもそもYouTubeとかニコニコとかで放送してるくらいですもんね。時代ってすげ~!

しかし一方では、やけに窮屈になったなあと思う部分もあります。タブー視されていたことに対して意見が言えるようになったけれど、どこか本音が言えない社会にもなってきているのは、一体なぜなのでしょうか?

さいきんは「不寛容社会」といわれていますが、個人的にこのようになった理由はネット社会だからというより、全体的な自己肯定感や自己重要感が低くなったからではないかと思っています。そして、なぜそうなってしまったというと、その犯人は「アレ」だと思うんです。

しかしこの「アレ」こそ、ガチ中のガチのタブーだと感じます。だからちょっと怖くて書けませんが、もっと時代が変わったら、これもタブーじゃなくなるのかな…

そんなことを考えつつ、今回はこの辺で終わりたいと思います。そろそろ仕事をしようかと思います(笑)

ではでは、また、、

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